「我思う、ゆえに我あり」というのは、有名な哲学者の言葉ですが。
これから書く内容とは大して関係ありません。
ライターの仕事をしているのですが、日々反省することが多いです。書く技術としては初歩の初歩というちょっとした失敗を、自分の備忘録、戒めとしてメモしておきます。
「思う」を言い換えるのがライターの仕事だと思う
先日とある取材記事を書きまして
納品してから読み返してみたら「思う」という言葉が目立ったんです。
別に誤字脱字、内容の誤りではないのですが、プロとしては恥ずかしい気持ちに。
「思う」の多用は厳禁。
「思う」を言い換えよ。
ごく簡単に例えるなら、たとえ取材相手が「○○だと思いました」を連発したとしても
「○○です」と言い切るべきケースもあるし、「○○でドキッとしました」「○○でしたとにっこり」のように文脈をくんで、あるいはを心情や表情をくんで言い換えることができるケースもあります。
そうすることで曖昧さを回避できるし、意図が伝わりやすい文章になるわけです。
逆に、「思う」を残すべきケースもあって、例えばあえて断定しないほうが良い話題。
個人の考えとして発信したほうがいい言葉もあります。すぐに例えが思い浮かばないけど、今ならジェンダーの話題とかデリケートですよね。
そうはいっても、「思います」「思いました」が続くと小学生の作文みたいになってしまうので、取材のテープ起こしから原稿を書くようなときは、ここの「思う」は変えるか、削るか、残すか、と考えるひと手間を忘れないことが大切だと肝に銘じました。
もちろん、無意識にできるようになれば御の字なんでしょうが。
「思う」と「想う」の使い分け
ところで、「思う」ではなくて「想う」という漢字を使いたいという人って意外と多い印象です。わたしも個人的には嫌いじゃないです、「想う」の情緒がある感じ。
でも、仕事で原稿を書くときにはまず、使いません。
理由はとても単純で、常用外の漢字だから。です。
メールインタビューとか、文章で原稿をもらって編集するときに、仕事の相手が「思う」ではなく「想う」という漢字を使っている場合があります。
もしも恋愛の記事なら、「想う」もありか、と思うのですが、さくっと「思う」に校正してしまうこともあります。
相手が「どうしても想うの字を使いたい」いうときは、気持ちを尊重する方向で考えます。
もちろん、掲載する媒体の方針もあると思いますが。
って、この短い文章でさえ、何回「思う」を使っているのか、わたし。
しっかりせえよ。
早く書ける、よりも大切にしたいことがある
自社媒体だったら、原稿を公開してからちょこっと修正、ということもしやすいのですが。
納品した原稿は、もう直せない。と思って納品しないといけません。
だから、スケジュールに余裕をもって進めるべきだし、原稿を書くのにはある程度時間が必要だと、個人的には思っています。
この仕事をはじめたときに、いろいろ教えてくれた上司が
「書いたものはできるだけ一晩寝かせて、翌日に読み直して仕上げるのがよい」と言っていたのですが、本当にそう。実は今回反省した原稿も、締め切りは翌日だったんです。もう1日寝かせておけばよかった。
今、特にWebライターの業界では、「いかに早く書けるか」というのが重視されていたりもします。書くことに時間がかかってしまう自分が歯がゆく感じることもあるのですが、でも、書く仕事が好きだからこそ。少しでもよい文章になるようにと、推敲する時間も好きなのでした。
以上、昨日の仕事の振り返り、「思う」の話でした。